夏、夕立、そして電子カルテ

こんにちは。

気づけばもう8月も後半、「今年は受験生の母だし」と、仕事をセーブしたつもりだったのに、なぜかやはり今年も休みなく働き続け「お願いっ！わ、私に休暇をっ！！」と叫んでる成田です。

 
皆さんは楽しい夏のおもひで、できましたか？

 
今日は私、病院で外来をしていました。

今時は電子カルテなるものが導入されて、病院内のすべての患者さんのカルテの情報がどの端末からも引き出せて便利この上ありません。

 
しかしながら、患者さんとお話ししつつ、聞き取った情報を正確にタイピングして打ち込むのは至難の技です。

特に、私の前に設置されてるPCと来たら何年経っても学習しないヤツで、「こうこうはいって」と打つと、必ずや「高校は言って」と返してくるし、「つくばだいがく」は「ツクバダイガク」以外の変換はゼッタイあり得ない、と強固に言い返してくるし、いちいちめんどくさい。

モニターは老眼鏡かけないと見にくいし、患者さんの顔は老眼鏡はずさないと見にくいし、忙しく手や目や頭を働かせて、千手観音か聖徳太子のように外来業務をこなすわけです。

 
今日も今日とて新しい患者さんにお会いして、私は必死でフル回転していました。

話も中盤に差し掛かり、電子カルテに、頂いた情報をすべからく書き込み、さていよいよ大岡越前で言うところのお白洲の場面、本日の所見のまとめをお話し、今後の方針をご相談する段になったその時、………「ぶちっ」というハデな音と共に、暗闇が訪れました。

 
……そう、さっきから不気味に鳴り響く雷鳴には気づいていたのですよ。いたのですが、まさかまさか、停電ですか!?今？ここで!?

 
暗闇でも口は動くので、お話は滞りなく続けられましたが、しゃべり続けながら私は不安で不安でたまりませんでした。だってだって私の前のPCが、真っ黒になってるのですものー（汗）

 
ワードだってエクセルだって、直前のファイルを自動保存してくれるよね～だから、電子カルテだってきっと、きっと、大丈夫だよね～

と祈り続けた私の願いも空しく、10分後に復旧したPCからは、私が必死で書き込んだカルテの文章は見事なまでに姿が消し去られておりました。

 
もう、電子カルテなんか、電子カルテなんか、、大っ嫌いだあああ～

と叫びながら私は一人、患者さんが帰った外来にて、

言うことを 聞くそぶりなきPCに カルテを再入力する 夏の夕暮れ……（字余り）

皆さんも、雷鳴轟く夕暮れには、とりあえず今書きかけのファイルを保存することをお忘れなく～

 
成田奈緒子