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子育て科学アクシスブログ


遠野物語に遭ってきました

「昔々あったずもな」

遠野の昔話の始まりの言葉です。「昔々あった話だ」の意味です。

「どんどはれ」

遠野の昔話の終わりの言葉です。「おしまいおしまい」の意味です。

 
上岡です。

柳田國男の『遠野物語』の舞台、岩手県遠野市に出かけてきました。

花巻駅から川沿いを走る釜石線に乗ること1時間。情緒ある遠野駅に到着です。

駅前のお店で自転車を借り、早速サイクリングを開始すると遠野物語の舞台となった跡地を巡れます。

その中で、一番有名なのは河童。

カッパ、カッパ、カッパ、カッパ

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1日こげば、いろんなカッパに出会えます。

 
くったくたになって宿に帰ると、語り部さんによる遠野物語を聞く機会に出会いました。

語り部さんたちは、

「今から語る物語の中に、聞き慣れない方言が出てくるけんども全部わからなくてもいいから。なんとなく聞いていたら、だんだん意味がわかってくるから」

との説明をされ、そのあと「昔々あったずもな…」と語り始めました 。

東北の方言は柔らかくて好きです。その心地よさに耳を傾けてみます。

すると、語り部さんの言うとおり、意味を知らない言葉が一旦は頭を通り抜けていきますが、少ししてからひきかえしてくるような、そんな感じでした。

『遠野物語』の稀有な点は、登場人物が実在して実名で登場することです。

摩訶不思議な話たち(妖怪も登場)ですが、その物語のベースとなった出来事は実際に起きた事なんだずもな。

例えば、実際にある家が没落するのですが、没落する前にその家から2人の幼い子が出てくるのを見た村人がおり、その村人は「この村では見かけない子だ。きっと座敷童に違いない。座敷童があの家から出て行ったってことは近々不幸が訪れるに違いない」と確信し、実際そうなったという話。これも実名で出てきます。また、遠野物語は起承転結の「結」が明確でない話が多いです。

 
実名による信憑性の高まり、妖怪が住んでいてもおかしくないような山に囲まれた遠野の情景、語り部さんの淡々とした口調。そして丸投げされた結末…。

これだけの条件に囲まれれば、脳みそは他ごと考えず、ただただ物語に集中し、想像の中の描写は細部にわたり感情が動く動く。

「ぞわっ」、「ぐっ」、「しんみり」を堪能いたしました。

夕食では遠野名産のズモナビール(美味!)をたしなみ、お酒に弱い私はすぐに物語ふる里で心地よい眠りにつきました。

 
遠野は、遠野物語の世界観で敷き詰められた巨大なテーパパークです。

それこそ、千葉県にあるものとは負けず劣らず。一歩足を踏み入れるとそこは昔話の国。

難点は、観光名所と観光名所、つまりはアトラクションとアトラクションの間の距離がかなりあること。

そして、メインキャラクターがカッパなこと。

いえ、カッパさん自体は全然かわいいんですが、

遠野に現れるカッパは赤いんですって。全身が。

緑じゃないんですって。全身が。

…で、でも、ヒーローキャラクターはけっこう赤のスーツ着てたりするから、ね。見慣れれば、ね。

 
チュロスではなくおにぎりが似合う世界が好きな方は、ぜひお出かけくださいませ。

 
 
上岡