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子育て科学アクシスブログ


人との距離感覚

こんにちは、成田です。

暑いので、インドア派の成田です。

(あ、暑くなくても、インドア派でした)

 
娘に勧められて、「船に乗れ!」という小説を読みました。

 
青春小説です。3部作です。

音楽を志すも一流の音楽高校には落ちて、「三流」の音楽大学付属高校に進学した主人公が、それでもその中で自分を初めて見つめて傷ついて進んでいく。そんな話です。

 
たぶん作者が私とだいたい同年代なのか、小説の中の彼らは携帯もメールもパソコンもない中で高校生活を送っています。

それが原因で、特に長期休暇中に容易に生じやすいすれ違いに、いたく私なんか「そうそうそう、あったなあそういうこと…」と共感して読むわけです。

さらに、物理的な障壁のみならず、信念ないがゆえに移ろいやすい感情に自分も他人も流される。そして、せっかく築いた関係性は容易に破壊されてしまう。

でもそれでも、船に乗れ!です。

しけで大揺れしても波に向かってこぎ出せ!!という力強いメッセージが、いかにも青春小説的で、素敵です。

 
でも私には、こんな旧石器時代?!のような不自由な子ども達の生きざまが、バリバリSNSを使いこなすIT親和世代の娘に共感されることの方が、いっそうの驚きでした。娘いわく、「自分たち世代の距離感覚の異常さが改めて怖いと思った」そうです。

 
私達世代は、友達と学校以外で話をするには、相手の家に電話して、出てきたお父さんやお母さんに敬語を使って名を名乗り、取り次いでもらわなきゃいけなかった。親世代と子世代に厳然たる「身分の差」が存在していました。だから距離を保つし、敬語を使う。

 
それが今では、友人の親が自分のプライベートショットを絵文字付きの「ため口」でSNSにアップしているのが「勝手に見えてしまう」。

それに、高校生が「いいね!」と言う。

対面もしていない、どころか言葉を交わした事もないのに、いつのまにか友人の親を「友だち♪」なんて思ってしまっている、そんな歪んだ人間関係の捉え=認知が距離の取り方の誤りを生み出し、ストーカー殺人など、次々と大きな社会問題を起こしている現状は改めて書くまでもないでしょう。

一方で、家族間LINEというのもとてもポピュラーになっているらしく、それで「繋がっている」「距離が近い」気になっているのもまた、とても恐ろしい事です。連絡報告のための活用であるならいいと思いますが、よく聞くとそうやって食事の時間や献立など綿密にLINEで打ち合わせたにも関わらず、食事時間は結局バラバラだったり、皆で一緒にいても、テレビだけが喋っていたり…

 
以前、家族4人で食卓を囲んで食事をしながら、「あたしはねえ、食べながらスマホでずっと喋ってる、友だちと。だって、家族に話しかけられたらウザイもん。」と言う子に会った事があります。「ご両親は何も言わないの?」と聞くと「テレビに夢中だし…」とのこと。

人との距離の取り方が明らかに間違ってるこんな子を、絶対に増やしたくないと考える私は、いまだにガラケー、いまだにブラウン管テレビのユーザーです。

いずれも、めちゃくちゃ使い勝手が悪いがために、結果、どんどん使わなくなります。オススメです(笑)。

 
成田 奈緒子