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子育て科学アクシスブログ


フルフラットな人間観

皆様こんにちは、成田です。

 
本日は大学のオープンキャンパス。

受験を考えてくれてる学生さんたちに、大学の説明をする業務です。

 
推薦入試が迫ってるので、「面接で何聞かれるんですか?」という質問が多いのですが、私はいつも、「志望動機を聞かれた時に『障害のある子が大好きなので』とか『障害のある子の役に立ちたい』とか言わない方がいいよ、点低くなるよ」って伝えています。

 
すごく難しい問題だし、多分に感覚的なものですが、私や同僚の教員たちは、こういう答え(もしかしたら高校の先生に考えてもらってるのかもしれませんが)には、無意識の差別意識が隠されてる気がしてしまうのです。

まだ社会の複雑な構造に組み込まれる前の高校生には、もっとフラットな人間観を持っていてほしい。

人種や居住地域や教育や身体能力、その他色々な条件に優劣を勝手に作り上げて、大人はすぐに人を区別したがります。

 
差別、偏見の心は11歳までに育った環境に影響を受けると言われます。

まだ色がついてない11歳までの子どもに、大人が多くの歪んだ価値観を押し付け続け、子ども自身が考える機会なく育てば、無邪気な「障害のある子ってかわいいじゃないですか」発言につながるのでしょう。

 
開始から1年を過ぎて、お蔭様でアクシスこどもの日はいつも大盛況です。

そして、親御さんからも「子どもが変わった」「とってもいい顔して帰ってくる」「また行きたい!楽しい!と言っていた」などの報告をたくさん受けています。私たち自身も、実際に親子関係が変化したなあ、と感激することも多く、嬉しい限りです。

 
ですが実は私たち、子どもの日プログラムにおいて、子ども達を特別盛り立てているわけでも誘導しているわけでも教育してるわけでも、あ、もちろん脅しているわけでも(笑)ないのです。

実際には、全員で行うゲームを始めても、途中で「つまんない~」とか言って抜ける子もいるし、最初から「やだ!!」と言って絶対参加しない子もいるんです。テーブルの下に潜ってしまう子もいるし、小さい子がモジモジしてて大きい子が待たされる場面もあります。

 
・・・が、私たちはとにかく「なんでもあり!」と考えて、それらすべてを「いいよ!!」と受け止めるようにしています。ここに君がいること、それだけでOKだよ、というメッセージを発する事だけに集中しているのです。

 
今の子ども達は、とにかく大人の作った優劣の基準によって比べられ続けてる気がしています。私には、学校も家庭も差別と偏見に満ち溢れてることが多すぎるように思えて、子ども達が本気で気の毒になります。

「あなたのためを思ってるのよ」という大義名分を振りかざし、「正しくあること」「より良くなること」を自分の基準で強要している大人達には、絶対にフルフラットの人間観はないと思います。そこにあるのは、根強い偏見意識が「愛情」という砂糖衣を着こんだだけのフェイクです。

 
だから子ども達は、いつも息苦しくてあえいでいることが多いように、私には見えます。

なので、差別と偏見が全く存在しない空間を作って、その息苦しさをほんのひととき和らげたい、それがアクシス子どもの日の目的です。そして、その思い以上の期待を持つことなく、私たちはただ、見ています。そうすると、しばしば本当に、奇跡のような彼らの心の変化を見ることが出来るのです。

 
大人の呪縛から逃れた自由な子ども達は、初めてあった小さい子や、ちょっと上手に喋れない子に、驚くほど優しい目をして微笑みかけ、手を差しのべます。だから、小さな子も、うまく喋れない子も、一瞬にして緊張をほぐして体を寄せていくのです。

子ども達は本来、こんなにもフルフラットな心の力を持つものなのです。

 
私はこういう子ども達の姿を見る機会に恵まれ、本当にありがたいと思っています。本当はわかっていても、オトナの多忙な生活のなかで、知らず知らずにフルフラットな人間観を失いかけてはいないか、今一度立ち止まって自分の心に問い直すチャンスになるからです。

・・・あなたはいかがですか?

 
そろそろオープンキャンパスも終了です。今日も一日働きました!

 
成田 奈緒子