成田家弾丸旅行~NYミュージカル三昧編~
2018.05.03
皆様こんにちは、成田です。
連休、楽しんでいらっしゃいますか?
成田は、このときとばかりになかなか仕上げられなかった論文のデータを整えていたのですが、ちょっとした隙にうっかり手を加えた部分を丸ごと削除してしまい…
結果、すねて逃避しております(笑)。
さて、3月の成田家NY旅行記続編です。
今回、2本のオフブロードウェイ作品を鑑賞しました。
ブルーマンショーとストンプ!です。
いずれも、非常にユニバーサルデザイン、といいますか、ほぼノー言語、
肉体と非言語コミュニケーションでのみ伝えきる潔さが印象的でした。
この、普遍的なコミュニケーションを維持するショーを開け続けるために、彼らがどれだけたゆまざる努力を続けてるかは、観客の側にも明白に見てとれます。
オフなのでとても小さな箱ですが、それでもある意味世界の文化の中心であるニューヨークです。努力していることを隠さない、誇らしげな彼らの姿に、私も勇気をもらいました。
…という充実の2日間を過ごしたあと、満を持して3日目は、ホンマのブロードウェイを観ようということになりました。
折しも季節外れの大雪、排水の悪いNYの道路は車道の端が完全に冠水してて、地下鉄から出たとたんに、どっち方向に渡るにもジャブジャブ水に浸からねばならぬ難行苦行。
しかしながらそれがラッキーして、その日のチケットは当日でもかなり売れ残っており、前から7列目の席が、なんと半額で買えました!!
ライオンキングやオペラ座の怪人、ウィキッドなど、四季で観たことある有名どころが並ぶなかで私たちが選んだのは「スポンジボブ」。
娘が幼少の頃にえらくはまってた(Eテレでやってる)、知る人ぞ知る非常に変わったアニメです。スポンジボブはスポンジ(海綿?)で黄色くて四角い顔を持ち、カニだかエビだかの店長がいるハンバーガー屋でバイトしてます。友人はイカやヒトデなんですが(なのでアニメの舞台は深海らしい)、どの登場人物も一癖あり言ってることが皮肉で意地悪なとこもある、かなりシュールな漫画です。
これをミュージカルに、しかもブロードウェイのど真ん中の劇場で!? と驚き、迷わず選んだ訳ですが…
いやいや、予想を色々裏切られました。なんせスポンジボブが普通のおっちゃんで、チェックのシャツにチノパン履いて出てくるから、はじめ全然スポンジボブであることがわかりませんでした。
そして、オフとは違い、丸きりセリフ主体なので難しい!! まだまだ英語の勉強が足らんなあと思った次第です。
ところで、開演前に座席に座ってた時のこと。
後ろの座席の女性が、隣の女性に話しかけてるのが聞こえてきました。
「あなた、どこでチケット買った?私はね、tktsって言うサイトで買ったのよ。このサイトはねえ、当日でもほら、こんなにいい席が安く買えるの。私はミネソタから来てるんだけど、あ、夫の仕事の出張にくっついてね、でも夫は忙しいし、ほら、男の人ってこういうの嫌いじゃない?すぐ寝ちゃったりするし。だから私はいつもこうやって一人で自由に好きなショーを観て歩くのよ~(blah blah blah…)」
話しかけられた隣の席の女の人はあまり積極的でない方のようで、「ええ」「すごい」「そうですね」など、最小限の相づちしかうってない。
それに乗じて件の夫人はもう止まらない勢いで、「でね、昨日はね、スクールオブロック、観たのよー。知ってる?あー知らない?私も知らなかったけど、tktsで検索したら、格安も格安、30ドルのチケットが出てたのよ~。で、行ってみたんだけど、これがあなた、すごかったのよ~学校が舞台でね、子どもの歌がサイコー。観てないなら、絶対行った方がいいわよー(blah blah blah)」
前の席でこの成り行き聞いてて、懐かしさ満載になりました。アメリカにいたとき、私の前のベンチにいたスー。朝ラボにいくと、必ずこんな調子でひとしきり昨日退勤後から今朝までの出来事をおしゃべりしてくれたものでした。スーパーに行ったら買おうと思ってたブランドのシャンプーがなくて、本当に困ってしまったけど、ボーイフレンドに電話したら、仕事帰りに薬局で買ってきてくれて、(blah blah blah)…
きっと私は、今の隣の女性のように、最小限の相づちしか打ててなかっただろうなあ~、だって、スーの言ってること、半分くらいしかわかんなかったもの。
などと懐かしさに耽りながら、とどまることを知らぬ後方座席の女性のトークを聞いていると、突然「ハクショーン!」と大きなくしゃみ。おしゃべり夫人の隣の寡黙な女性の隣の男性です。
「いやあ、すみません。なんだろ、アレルギーかなあ、どうも鼻がむずむずして…大変失礼しました。ところで、先ほどからお話聞こえてたんですが、何ですか?tktsって。僕はオークションサイトでこのチケット手にいれたんですよ。2枚ってなるとあんまり良い席がないんですが、一枚だと、時々驚くほど値打ちものが出ますよ。先日も、オペラのチケット、前から3列目が、なんと35ドルで手に入って…(blah blah blah)」
わお!ここにもいた!!
まるでコントのような分かりやすい侵入の仕方で、会話に参入して自分の意見を述べ始める。相手の意見を聞いてるようで実は会話の主体は主張に傾く、アメリカ人のアメリカ人らしいコミュニケーション方法です。言葉から始まり、言葉に多くを頼る。
ブルーマンやストンプ!の真逆をいくこのコミュニケーションに、でも疲れ始めてるアメリカ人もぃるんだなあ、と感じました。
その後、真ん中の女性は全く発言することなく、両端の夫人とくしゃみ男の間で、いかに自分が今まで観た演劇、コンサートがお得だったか、自慢合戦が延々繰り広げられました。
ミュージカル「スポンジボブ」は、トニー賞ノミネートらしいですよ。
ちょっと英語は難しいですが、さすがのオーケストラと舞台装置は一見の価値ありです。日本には来なさそうだし…(笑)
成田 奈緒子