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子育て科学アクシスブログ


リスクを回避すること

こんにちは、成田です。

 
私が利用するJRの路線は、この頃でっかい商業施設がたくさん沿線にできたため、週末は家族連れがたくさん乗ってきます。

ある休日の17時ごろ、モールのある駅から二組の親子連れが乗ってきました。

二組とも父、母、そしてベビーカーに乗った1~1.5歳くらいの子ども、というとても良く似た家族構成です。(全くの他人です)

さらに驚いたのは、乗車してからの行動もまるで双子。

お父さんは、無言でベビーカーの子どもに自分のポケットから出したキーホルダー(本当に鍵がたくさんついている使用中のもの)を渡しました。

子どもたちはそれぞれ、与えられたキーホルダーをガチャガチャ音をさせで振り回してご満悦。

そして、お父さん2人とお母さん2人は、それぞれのスマホを手に持ち、なにやら操作を始めました。

お父さんの片手はベビーカーを支え、お母さんの片手には買い物袋。

 
見事に2家族の動作がシンクロしていてびっくり。

なにより、私が下りるまで約15分間、誰も一言も言葉を発さず、びっくり。

 
また、先日、講演会で「4歳の子どもがスマホを手放さないのだがどうしたらよいか?」という質問をされて本当にびっくりしました。

びっくりしたので、思わず、「え?4歳のお子さん名義でスマホ買ってあげたのですか?」と聞き返してしまいました。

むっとした調子でお母さんは「いいえ、私のスマホです!」とおっしゃいました。

 
実はこういったことは、育児雑誌の記者さんからよく聞いていました。

子どもを泣き止ませる道具として、キーホルダーとスマホが常に上位に来るという事。

 
皆さんはどう思われますか?

私はこういう、幼児のころから「貴重品」をおもちゃとして平気で子どもに預ける親の習慣と、中高生の親御さんからの相談でとても多い「子どもが親の財布からお金を盗った」というのとは、絶対に強くリンクしていると思っています。

大人にとっての貴重品は絶対に子どもには触らせない。

それは、当たり前のリスク回避です。

もし子どもが、ドアが開いた時に電車からキーホルダーを投げて、それが線路に運悪く落っこちてしまったら。

もし子どもが、持っていたスマホを橋の欄干から落として水没してしまったら。

そういうリスクを想像して回避することが「リスクマネジメント」、すなわちリスクの回避です。

小さい時から「親のものは自分のおもちゃ」というしつけをされてきた子どもが、手に届くところに大金が入った財布をみつければ、「自分のもの」と思うに決まってます。それは、親が想像しうるリスクです。

 
質問された方には「一旦子どもの目の前からスマホを失くして、他のものに興味を持たせなければなりませんね。まだ4歳なので、本当はスマホ以外のものにたくさん興味を持てるはず。なんならいっそ、スマホは解約しては?」とお答えしました。

皆さん笑っていらっしゃいましたが、私は本当は本気で今このお母さんはそれをしなければ、将来その子どもは大きな危機に直面すると考えていました。

大人の貴重品、汗水働いて得た大切な収入を、「当たり前のように」浪費する子どもたちを、これ以上生産してはなりません。

リスクを想像してそれを回避する行動を取る。すべて、大人の責任なのです。

 
 
成田奈緒子