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子育て科学アクシスブログ


信頼されるということ

上岡です。

父によく布団の中で「俺が死んだら、お前が母ちゃんを守らんといかんのだから、ちゃんとしろよ」と言われてました。

まだ「うんち!」「おしり!」で大はしゃぎする小学校低学年だった頃の私にです。

今思えばはんぱないプレッシャーですが、父は、僕を信頼しようと、信頼に足るよう成長することを願っていたのです。

 
大学進学を機に実家を離れ、1人暮らしを始めたころ、母の心配がひしひしと伝わってきました。

浪人時代は運動不足で体重を増やした私が、大学生活を始めるやいなや、サークル活動で健康的にやせ始めていったのですが、そんな私をみて「病院に行ったらどうだ?」とまじめに言い放ちました。

アパートに来たときも、長髪の男友達が落としていった長い髪の毛をみつけて「彼女がいるのかい?」と。

そんな質問に「彼女はいない」と確固たる事実を報告するのはなんだか恥ずかくモゴモゴしていると、痩せ始めたことと結び付けて、帰り際に一言「彼女できてうかれてもいいが病気には気を付けるんだよ」と。

母は、息子を実物より男前に思っており、そして息子の健康を心配していたのです。

 
大学卒業間近のとき「警察官になりたい!」と強く思い、警察官試験を受けました。

筆記試験と体力試験をなんとかパスし、最後に面接が待っていました。

面接会場はなんと1人暮らしの私のアパートで、交番からお巡りさんが訪ねてくるという形式のものでした。私の生活環境を知ることが目的なのだと思います。

1DKの自宅でいろんなことを質問され、最後に「お父さんお母さんは、君が警察官になることに納得しているのか?」と聞かれました。

正直、両親には、試験を受けることは伝えていましたが、警察官になっていいかどうかの相談はしていませんでした。

私は「はい。父も母も自分の好きなことをしろと言ってくれました」と嘘をつきました。お巡りさん相手に!

同時期、私の実家にもお巡りさんが訪問し、父母にいろいろ質問し、同じ質問を父にぶつけていたとのことでした。

母から聞いた話ではその時、父は「息子には『好きなことをしろ』と言ってありますから納得しています」と答え、母も父の横で「頷いといたよ」とのことでした。

嘘が本当になりました。

息子を心配していた父と母は私を信用するまでになり、この話を聞いた私は「信頼たる大人になろう」と思ったのを覚えています。

 
警察官試験は落ちました。でもそれは、どうでもいいことです。

 
上岡