天狗に逢ってきました。
2023.04.08
皆さんこんにちは、成田です。
突然ですが、先日京都で天狗に逢って来ました。
天狗研究家(?)の娘のたっての希望だったので、旅程は彼女が作成してくれてました。
私は安心しきって事前予習もせず当日朝、ヒタヒタ娘にくっついてバスに乗り、電車に乗り、ケーブルに乗り、鞍馬寺に到着しました。
例により朝はとてつもなく早い時刻から活動開始なので、境内に人間は合計四人くらいしかおらず、すがすがしい朝の空気と静寂に包まれた山頂の寺は、「確かにここに天狗がいてもおかしくないわー」と思える異空間です。
しばらくその空気感に浸って深呼吸を100回くらいした後「いやー、ええとこ来れたわー。確かに天狗の里やねえ(心の声:さあ、戻ろか)。」と娘に言うと、「いやいや何をゆうとる、ここからやがな」とすたすた境内左横の小路に向かうではありませんか。
いや、小路に見えたのは目の錯覚で、それは実は延々続く登りの石段でした。「ここで源義経が天狗に出会って、才能を認められて天狗修行をしたんよ。ここから続く山道を毎日走り回ってたらしい。ここに来たかったんよねえ!」・・ん、なんだと?!ここから山道を歩くのか?
・・・ちゃんと旅程を見てなかったとは言い出せず、登山とは一言も聞いとらんとも言い出せず、そのうちどんどん石段は急さを増して、言葉を発するのも困難になり、昨日の雨でぬかるんだ山道でこけないように細心の注意を払い、ひたすら歩くこと約1時間。
「これこれ!この木の根っこを義経が飛んで歩いた伝説がある木の根道ね~!!」と娘が歓声を上げるそこには、大木の根っこが勢い余って地表に顔を出しうねりくねる奇妙な広場がありました。
へぇー、と言いながら上がった息を整えていたその時、突然どこから現れたのかおっちゃんに話しかけられました。「ここで源義経が修行したらしいでー。」
紺色の作務衣にわらじばき、白髪を後ろで束ねた中肉中背のおっちゃん。手には紺色のペラペラのエコバッグ一つぶら下げてるだけで、めちゃくちゃ軽装。丸顔にちっちゃな瞳、穏和な笑みを浮かべて立っている。
えっ!さっきまで歩いてた一本道の山道では前にも後ろにもだーれも歩いてなかったと思うんだけど・・・。
謎に思う私をよそに娘は、「そーですよねー!ここ、めっちゃ天狗っぽいですよねー」など楽しそうに会話してる。そして私たちがきゃっきゃっと写真撮影に励んでいる間に、いつの間にかおっちゃんの姿はなくなっていました。
さらに何か所かの注目ポイント(義経はいまだに生きておられてここにあると言われるお堂とか)を過ぎ去って山を少し下り始めたその場所に、その名も「奥の院 魔王殿」という、周りを樹齢何百年の大木に囲まれた祠が建っていました。「魔王がいたんやねえ。これが天狗のことなんかねえ。」など話していると、後ろから「650万年前にな」という声。振り向けば、なんとあのおっちゃんがまた立っている!
え?!どこから来たの?だって一本道だったよね?ほかに誰も通ってなかった気がするんだけど!と内心めちゃびっくりしているのを隠して、
「650万年前?」と聞き返すと「そうやで。650年前ちゃうで。650万年前にここに金星から魔王さんが下りてきはったそうや。そんときに連れてきた子分が天狗、いう説もあるな。」
娘は快活に「え~そうなんや~すごい!確かにここ、UFO着いても気がつかない場所やし。なんか宇宙のエネルギー渦巻いてる感じするし。」とか会話しているけど、え?え?この人なんなん?!
不審そうな私の目に気づいたのかおっちゃん。
手にしたエコバッグから何やら紙を取り出して「わし、バイトやねん。この山のな、消火栓の場所を定期的にチェックしとんねん」とのたまう。みると、確かに21番までの消火栓の場所が書いてあってチェック入ってる。「ここが最終やねん。めっちゃきついんやけどなあ。ははは。」なんていって、またいつの間にかいなくなっていました。
絶対に天狗です。あの方。
昔は山伏の恰好してたけど、今は作務衣着て人間界に身をやつしているんだ。消火栓のチェックのバイトとは、よく化けた(?)もんだ。など娘とその後もず~っとあのお方の話で盛り上がりました。
で、あとから確認したら、写ってました。天狗様が。上の写真で作務衣姿の天狗様、ぜひご確認くださいませ。
このあと木に駆け上って、飛んで移動して、また私らの前に現れたのでしょう(笑)。
ありがたい体験をさせてもらった春の京都の旅でした。
成田 奈緒子
突然ですが、先日京都で天狗に逢って来ました。
天狗研究家(?)の娘のたっての希望だったので、旅程は彼女が作成してくれてました。
私は安心しきって事前予習もせず当日朝、ヒタヒタ娘にくっついてバスに乗り、電車に乗り、ケーブルに乗り、鞍馬寺に到着しました。
例により朝はとてつもなく早い時刻から活動開始なので、境内に人間は合計四人くらいしかおらず、すがすがしい朝の空気と静寂に包まれた山頂の寺は、「確かにここに天狗がいてもおかしくないわー」と思える異空間です。
しばらくその空気感に浸って深呼吸を100回くらいした後「いやー、ええとこ来れたわー。確かに天狗の里やねえ(心の声:さあ、戻ろか)。」と娘に言うと、「いやいや何をゆうとる、ここからやがな」とすたすた境内左横の小路に向かうではありませんか。
いや、小路に見えたのは目の錯覚で、それは実は延々続く登りの石段でした。「ここで源義経が天狗に出会って、才能を認められて天狗修行をしたんよ。ここから続く山道を毎日走り回ってたらしい。ここに来たかったんよねえ!」・・ん、なんだと?!ここから山道を歩くのか?
・・・ちゃんと旅程を見てなかったとは言い出せず、登山とは一言も聞いとらんとも言い出せず、そのうちどんどん石段は急さを増して、言葉を発するのも困難になり、昨日の雨でぬかるんだ山道でこけないように細心の注意を払い、ひたすら歩くこと約1時間。
「これこれ!この木の根っこを義経が飛んで歩いた伝説がある木の根道ね~!!」と娘が歓声を上げるそこには、大木の根っこが勢い余って地表に顔を出しうねりくねる奇妙な広場がありました。
へぇー、と言いながら上がった息を整えていたその時、突然どこから現れたのかおっちゃんに話しかけられました。「ここで源義経が修行したらしいでー。」
紺色の作務衣にわらじばき、白髪を後ろで束ねた中肉中背のおっちゃん。手には紺色のペラペラのエコバッグ一つぶら下げてるだけで、めちゃくちゃ軽装。丸顔にちっちゃな瞳、穏和な笑みを浮かべて立っている。
えっ!さっきまで歩いてた一本道の山道では前にも後ろにもだーれも歩いてなかったと思うんだけど・・・。
謎に思う私をよそに娘は、「そーですよねー!ここ、めっちゃ天狗っぽいですよねー」など楽しそうに会話してる。そして私たちがきゃっきゃっと写真撮影に励んでいる間に、いつの間にかおっちゃんの姿はなくなっていました。
さらに何か所かの注目ポイント(義経はいまだに生きておられてここにあると言われるお堂とか)を過ぎ去って山を少し下り始めたその場所に、その名も「奥の院 魔王殿」という、周りを樹齢何百年の大木に囲まれた祠が建っていました。「魔王がいたんやねえ。これが天狗のことなんかねえ。」など話していると、後ろから「650万年前にな」という声。振り向けば、なんとあのおっちゃんがまた立っている!
え?!どこから来たの?だって一本道だったよね?ほかに誰も通ってなかった気がするんだけど!と内心めちゃびっくりしているのを隠して、
「650万年前?」と聞き返すと「そうやで。650年前ちゃうで。650万年前にここに金星から魔王さんが下りてきはったそうや。そんときに連れてきた子分が天狗、いう説もあるな。」
娘は快活に「え~そうなんや~すごい!確かにここ、UFO着いても気がつかない場所やし。なんか宇宙のエネルギー渦巻いてる感じするし。」とか会話しているけど、え?え?この人なんなん?!
不審そうな私の目に気づいたのかおっちゃん。
手にしたエコバッグから何やら紙を取り出して「わし、バイトやねん。この山のな、消火栓の場所を定期的にチェックしとんねん」とのたまう。みると、確かに21番までの消火栓の場所が書いてあってチェック入ってる。「ここが最終やねん。めっちゃきついんやけどなあ。ははは。」なんていって、またいつの間にかいなくなっていました。
絶対に天狗です。あの方。
昔は山伏の恰好してたけど、今は作務衣着て人間界に身をやつしているんだ。消火栓のチェックのバイトとは、よく化けた(?)もんだ。など娘とその後もず~っとあのお方の話で盛り上がりました。
で、あとから確認したら、写ってました。天狗様が。上の写真で作務衣姿の天狗様、ぜひご確認くださいませ。
このあと木に駆け上って、飛んで移動して、また私らの前に現れたのでしょう(笑)。
ありがたい体験をさせてもらった春の京都の旅でした。
成田 奈緒子